2006年5月21日掲載記事

しらかば帳:小諸高原病院に建設される… /長野

 ◆小諸高原病院に建設される医療観察法に基づく触法精神障害者等の入院治療施設について、小諸市は県の立ち会いのもと、容認する覚書に調印した。覚書は施設の設置条件などを改めて確認する内容だが、この調印によって、昨年からの反対運動が一応実った形となった。今後は行政機関や住民代表は「地域連絡会議」メンバーとして、運営状況や監視だけでなく、閉鎖的で暗いイメージがある病院を、少しでも開かれたものにするため、積極的に関与してほしいと思う。(正)
毎日新聞

HARVEST:ひきこもり、不登校ニートを支援 相模原に株式会社設立 /神奈川

 ◇収益の社会還元を理念に、社会参加と自立準備−−入会金3万円、相談は無料
 ひきこもりや不登校ニートと呼ばれる未就労者らを支援する株式会社「HARVEST(ハーベスト)」が相模原市橋本1に設立され、本格的な活動を開始した。こうした支援は行政やNPO(非営利組織)が各地で取り組んでいるが、有償で責任を持ってバックアップする企業は国内で例がないという。【高橋和夫、写真も】
 ひきこもり支援のボランティア活動などで知り合った三好健一郎社長(32)をはじめとする若者ら7人が「同世代の目線でしか見えない悩みや価値観を共有する若者ならではの支援をしよう」と一致。金銭契約を結ぶことで信用度を高め、社会的責任を果たそうと昨年12月、資本金250万円で会社を結成した。今年2月には同市内に事務所を開設した。
 相談はすべて無料。入会金は3万円で、週1回、3カ月間にわたる個別プログラムに参加すると30万円。同社と契約した臨床心理士産業カウンセラーと安価で面談できるほか、プログラム終了後もボランティアがマンツーマンで相談相手になる。組織の形こそ営利追求の株式会社だが、事業収益の社会還元を企業理念に掲げている。
 プログラムはコミュニケーション能力を向上させるため、自己表現の手法を学び、やる気を起こさせるレッスンが組まれている。スタジオでの演劇やサークル活動、大人数での食事、旅行などへの参加を通じて、社会参加と自立の準備に取り組む。
 スタッフは「ファミリーアドバイザー」として家族の相談に乗る50代の女性カウンセラーや、相模原市内にある青山学院大学などの学生30人の「ボランティア・キャスト」も加わっている。
 受付スタッフの薬師正人さん(24)によると、相談や問い合わせは月に約50件あり、ひきこもりは本人からの相談が4割という。「現在は事務所の維持費を確保するのがやっとですが、自分たちの活動が、悩める若者の問題解決の糸口になると確信して働いています」と話している。問い合わせは同社(042・712・6200)。
毎日新聞

しんそう−深層・真相・心想:解説編 茅野に精神障害者共同住居 /長野

 諏訪地域では初となる精神障害者の共同住居「ひまわりハウス横内」が今月11日、茅野市ちのの横内地区に開設された。病気に対する偏見や誤解から精神障害者の施設開設は困難なのが実情だ。開設までの経緯や関係者の思いを追った。【池乗有衣】
 ◇自立へのステップに
 精神障害者の共同住居は、複数の障害者が共に生活し、世話人から生活の援助、指導を受けながら自立を目指している。運営は県や市町村から補助金を受けた家族会などが行う。県障害者自律支援チームによると、共同住居などの施設は長野市21施設、松本市6施設など県内には51カ所あるが、諏訪地域にはなかった。
 諏訪精神障害者家族会「やまびこ会」(両角健治会長)は長年、共同住居の設置を目指してきた。「障害者本人や家族は、自立して生活するきっかけの場を必要としている」と両角会長は話す。これまでも2度ほど、茅野市内で開設計画があったが、いずれも近隣住民からの強い反対で断念。候補地探しは難航した。
 「地域で精神障害についての理解が得られにくい。また、世間に知られたくないとの思いを持つ家族もいて、家族会の力も弱かった」と両角会長は振り返る。
 今年1月、状況が一変した。同市ちのに空き家を持つ小川勝三さん(65)が提供することに同意したからだ。妻が精神障害者ケアのボランティア経験を持つ小川さんは「空き家が障害者の人たちに役立つなら、使ってもらおうと思った」と話す。
 同2月には周辺住民への説明会が開かれた。住民からは「何かあったらどうするのか」など不安を訴える声もあがった。
しかし、家族会などが十分に施設の必要性や関係者を常駐させる運営方針を説明したことで、同意を得ることが出来た。
 受け入れを決めた小川勝敏・横内区長は「横内地区でなじんでもらえるよう温かく見守っていきたい。地区の行事などにも積極的に参加してほしい」とエールを送る。
 木造平屋建ての「ひまわりハウス横内」は延べ床面積約130平方メートル。プライバシーに配慮し個室を備えた。20歳代から50歳代の男女5人が順次入居。支援や指導を行う管理人1人とともに第一歩を踏み出した。入居者の父親は「既に母親が他界し、自分もいつまで面倒を見てやれるか。共同生活で自信をつけてもらい、自立へのステップになれば」と期待を寄せる。
 県内で精神科に通院し、自立支援医療の公費負担を受けた人は昨年度末で2万5623人。一昨年に比べ3920人も増えている。精神障害への理解を深めると同時に、自立を目指す精神障害者やその家族の受け皿作りが求められている。
毎日新聞



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